導入:一般にPTFE製品は金属に比べて線膨張係数が高く、体積転移温度が室温付近で体積変化が1~2%程度あるため、精度の制御が難しくなります。また、薄肉の PTFE 製品は、PTFE が柔軟で弾性のある材料であるだけでなく、成形後に残留応力が残留し、加工時に発生する摩擦熱や加工後の経時変化により変形する場合があり、加工が難しいことが知られています。このような変形は寸法精度に影響を与える可能性があります。
PTFE製品は加工精度に関して、金属材料と同様の許容寸法公差が求められる場合があります。このような場合、上記PTFEの特性により、ユーザーとメーカーとの間でトラブルが発生する可能性があります。このような背景を踏まえ、本稿では PTFE の加工精度について解説します。
一般許容寸法公差
この規格は、PTFE成形品の素材を圧縮または押出成形により加工する場合の寸法を1mmから1000mmまで規定したものです。この規格で使用される「一般」という用語は、設計図に図や記号が示されていない場合にも適用できる規格を意味します。
PTFE の加工精度を測定する場合、PTFE の次の重要な特性が必要です。
考慮に入れてください:
1. PTFEは熱伝導率が低いです。
2. PTFEは線膨張係数が大きいです。
3. PTFEは23℃付近で体積が大きく変化します(約1~2%)。
4. PTFEは弾性があります。
5. PTFEには残留応力が存在する場合があります。
以上より、PTFEの加工精度はサイズや形状にもよりますが、PTFEの寸法公差はJIS K 6884(1級)に規定されている値の半分の±0.05mm程度となります。
ただし、PTFE は弾性があるため、測定器の先端を PTFE 試験片に強く押し付けると、正確な値が変動する可能性があります。例えば、PTFE試験片に対するマイクロメータの押し当て方によっては、測定値に0.1mm以上の差が生じる場合があります。ユーザーやメーカーはこの点を考慮する必要があります。
アニール処理の効果
通常、PTFEは圧縮成形後に自由焼結(焼き付け)処理が施されます。PTFEは、外層が急冷されたコイニング法(金型内で材料を焼結し、加圧下で冷却する方法)を施した成形品に比べ、焼結時の内部応力を低減することができます。
ただし、高い寸法精度が必要な場合や製品形状が複雑な場合には、素材に焼きなまし※処理を施します。
成形時に発生する内部応力を除去することは、寸法精度の向上や経時変化の防止に有効です。
※アニーリング:成形品を一定温度で徐冷し、熱や機械的応力により発生した内部応力を除去する処理。
表面粗さ
ポリテトラフルオロエチレン(マシンカット)の一般公差に規定されているように、表面粗さの値を設定する際には材料特性を考慮する必要があります。
樹脂は表面が加工時の熱影響を受け、弾性を持っているため、金属加工面と同等の表面粗さ値を得ることができません。
一般に面粗さの仕上がりは、回転数や送り速度などの加工条件や切削工具(刃物)によって異なります。
前者のシンボルは約 60 年前に導入されたため、よく知られています。新しいシンボルが周辺機器メーカーに周知されるまでには時間がかかります。また、機能部品の場合は既存技術を踏襲する傾向があります。したがって、新しいシンボルと以前のシンボルの関係を理解することが重要です。
投稿日時: 2019 年 1 月 14 日